Product Led Growth = PLGがますます重要な時代に入る

うちはかなりPLG思想が強くて、機能開発のみならず、そもそものプロダクトのコンセプトを練るときも「それがPLGとして成立するのか」という懸念が「Yes」にならないと社内承認をしない。素晴らしい構想であっても、ユーザーが成果実感するまでに長い時間を要したり、稟議決裁で大規模な意思決定がないと組織導入が進まないようなコンセプトは残念ながら却下している。

それは、ポスト生成AIの社会ではPLGがますます重要になってくる、という仮説に基づく。今後のSaaSは、SalesforceやAWSのような重厚なセールスで導入を進めるエンタープライズ的なものと、SlackやZoomのようなセルフサーブ式PLG的なものに分かれ、中間層が消えていくだろう。デモを見て、セールスマンに説明してもらって、自社のオペレーションでの活用イメージを提案してもらって、という工程が生成AIによって取って代わられて不要になるからである。

PLG SaaSの土壌がスカスカな日本

従来、PLGはシリコンバレーの独壇場だった。シリコンバレーのスタートアップは桁違いの資金をアプリケーション開発に投資し、世界で売る。単価は低いがセルフサーブできる素晴らしいUIで機能も申し分ない。

日本をはじめシリコンバレー以外のスタートアップは、それでは実現できない「かゆいところに手が届く」で勝負せざるを得ず、それは説明コストが高いからPLGではなくPLS(Product Led Sales)かSLG(Sales Led Growth)の戦略しか選択ができないし、人件費がかかるので単価も高くなった。

そのため、正確には日本だけでなくシリコンバレー以外でPLGのノウハウはほとんど育ってきていないと考えるべきだろう。

GPT/GeminiがPLGの世界最高コンサルタントに

「かゆいところに手が届くし、情弱な日本企業に手取り足取りサポートしてくれる、高単価なSaaS」は今後許容されなくなっていくと思う。ではSalesforceのようなSLG・エンプラセールスのSaaSにスタートアップや新規事業の勝ち筋があるかというと、答えはおおむね「No」であろうと思う。SLGはとにかく時間がかかる。アプリケーション開発だけじゃなく、セールスや導入後のCSの人件費も必要になる。そのスピードや、そこに投資する体力が許容されにくくなっていくだろう。そうなると、日本のスタートアップも新規事業もPLG化していかざるを得ない。

そんな時、前述のように国内にPLGのノウハウはほぼなかったわけだが、そこはLLMがものすごく綺麗に埋めてくれることになった。2025~2026年、日本のスタートアップとして「PLG SaaS」に張らないのはものすごくもったいないと感じる。VCにプレゼンしていても「PLG」自体がよくわかっていないケースや、「PLGって難しいんですよねぇ」って抽象論で終わってしまうケースが多い。逆に、今はSLGのSaaSが席巻している領域を、PLGでリプレイスできるチャンスがそこかしこに溢れている。