グッドパッチの株を約10万円分買ってみた

大先輩の経営者から、四季報を読めとご指導いただいた。四季報の読み方系の本を2冊読んで、2025年の四季報3集と、これから発売される4集を購入してみることにした。

伸びると思っていた会社も全然伸びない

四季報読み方系の本には、四季報を通じていろんな会社を知り、お宝銘柄を見つけるのだ~!みたいなことが書いてある。上場企業だけで3,000前後あるので、その中には隠れたお宝が埋まっているよと。

僕はこの意見には懐疑的だ。スタートアップの雄としてメディアに持ち上げられ、上場したスター経営者の会社が、5年、10年と全く伸びない事例をいくつも知っている。彼らは紛れもないスター経営者で、本当に頭が切れて賢いし、人にかわいがられる人間力があり、ずば抜けた行動力がある。なぜ業績が伸びないのか不思議に思う。

一方で僕が以前会社を売ったプライム上場企業の経営者は、お世辞にもキレキレだとは言い難かったし、経営戦略もお世辞にも輝いてはいなかった。その会社に関して言えば創業者が作ったビジネスモデルが秀逸で、それを再生産することだけが求められる環境だった。なんとその会社はここ5年で株価を3倍くらい伸ばしているではないか。

会社や事業や経営者の真贋を見極めることは難しく、原則不可能だと思う。四季報程度の情報でそれがわかるか、そのヒントが掴めるかというと「No」ではないだろうか。

自分の仮説を、自分の会社以外で検証する、のは面白いかも

じゃあ僕がどうするかというと、「これから10年どういう時代になるから、こういう会社が伸びるはず」に対して投資してみたいなと思う。これはスタートアップ投資的でもあるし、自分が事業をやるときのスタンスにも近いし、自分にとってわかりやすくワクワクする。

僕はAIにめちゃくちゃ強く賭けている人間なので、AI時代にこそ伸びる会社に投資したい。とはいえこれは簡単ではない。今回は「AI時代において、AIじゃない事業だが需要が伸びる会社」を探してみることにした。逆にAI活用するケース、たとえば「製薬会社が研究開発をAIで行う」みたいな試みに対しては、その是非を公開情報から判断することが難しいと考えたためだ。

アプリケーションが氾濫するがUI/UXはLLMの苦手領域

LLMによって、アプリケーションの開発難易度も工数も大幅に下がる。一方で、UIやUXはLLMが苦手な分野であり、ここに投資できるかどうかがIT事業の明暗を分けるだろう。となると、ここに強い会社としてすぐに浮かぶのがグッドパッチ社だ。過去一年、売上高は順調に推移しており、特に直近3Qは過去最高を更新し続けている。3Qにして、1年分の売上に匹敵するくらい伸びている。

業績と共に、直近一年は株価も順調に伸長している。

しかし上場当時と比較すると今はだいぶ割安なように思える。

おそらく10月半ばの通期決算発表においては過去最高の売上、利益を出すことになるだろう。3Qの時点で営業利益は5億円ほどだが、このままいくと7億円前後で着地しそうな期待が持てる。その場合、PER20倍で140億円となり、現在の時価総額85億円を大きく上回ることが期待される。逆に今のまま5億円ほどの着地(4Qでは営業利益が積み増せなかった)の場合でも、PER20倍なら時価総額100億円で今より高い水準が期待できる。

なぜグッドパッチは成長しているか

2022年~24年まで売上は横ばいだったし、営業利益は毎年どんどん減少していた。なぜ25年は売上、利益ともに大幅増になったのか。

24年と25年のIR資料を比較すると、

  • セールス・マーケ人材と予算を拡充した
    • 広告効率が30-40%改善、結果有効商談数が22年と比較して倍近く増えている
    • 平均顧客単価が10%以上伸びている

あたりが主要な要因のようだ。

今後は「本当に受託事業以外を伸ばせるか」がポイントになりそうだが、時代的に非常に良い事業だと思う。というわけで10万円くらい買ってみた。